アメリカ編~第60日目

12月26日(火)。

前々日に見た「軍港めぐり」に乗ろうと1時半頃に着くと「もうチケット売り切れ」とのこと。そんなあ。仕方ないのでウィスコンシンを含む海洋博物館「Nauticas」に行ってみる。夜間公開では一部しか見られなかったので。

「海事博物館」だが、2階の展示部分は海軍博物館だ。帆船時代の舷側の実物大模型。

ノーフォークの面するハンプトン・ローズ湾は、史上初の装甲艦同士の海戦、「ハンプトン・ローズ海戦」で有名だ。南北戦争中に発生したこの海戦では、北軍の装甲艦「モニター」(手前)と南軍の装甲艦「ヴァージニア」が戦い、お互いの砲撃が通じず引き分けとなった。元海自サブマリナーの漫画家黒井緑が描いた短編が、「軍艦春日回航記」に収録されている。

場所柄、独立戦争南北戦争関連の展示は手厚いが、第1次・第2次世界大戦はおとなしめ。

当然飾られている模型も、第2次大戦Uボートとの戦いで活躍した護衛空母だ(確かボーグ級)。

その代わり、結構充実しているのがベトナム戦争関連。トンキン湾事件のところにはちゃんと捏造だった旨解説されている。

この近くにあるニューポート・ニューズ造船所で建造されたデ・モイン級重巡洋艦3番艦、すなわちアメリカが最後に建造した砲戦型巡洋艦のニューポート・ニューズ。1970年代まで現役で、ベトナムへの艦砲射撃も実施した。

空母に関連して航空機関連の展示もある。写真のミサイルはAIM-9サイドワインダー。

ベトナム共産ゲリラ(ベトコン)が河川交通に利用したことでも知られる「サンパン」と呼ばれる小舟。

3階へ移動する。3階はもう少し低年齢向けの、いわゆる「体験学習」的な海洋博物館になっている。

おそらく最近改装されたものと見え、近くには所在なさげな艦隊がいた。基本的に構成している艦艇が古い。

全然見えない。水辺の生物の展示も一応ある。ほんとに一応。

イルカの頭の骨。

綺麗な海を守ろう!みたいなコーナーなのだが、原子力空母ではいかにしてゴミを処理してるか、みたいな展示がある。あと写真を撮っていなかったのだが、イルカやクジラと結びつけて軍艦のソーナーを説明している展示はその筋の人には怒られそう。

なんか最近Twitterで称賛されてた気がする奴だが、これだけあっても「だから?」ってなるんだよな。

さ、ウィスコンシンへ移動。

改めて艦首から。ちょっとはっきり覚えていないのだが、ハワイのミズーリより結構自由に見せてくれる感じがある。まあ、あっちの方が観光客多いだろうからな。

ハープーン対艦ミサイル(手前)と発射位置のトマホーク対地ミサイルの装甲ランチャー(ABL)。1980年代の再就役にあたって追加された武装である。

トマホークABLと後部射撃指揮装置。ミズーリと違って艦橋には入れない。

後部甲板から艦内へ。第2甲板艦尾部にはCPO(先任下士官)の食堂及び一般兵員食堂がある。

警備の海兵隊事務所。小銃が保管されている。

工作分隊事務所。

1甲板と2甲板の上下はあちこちでできる。1甲板に上がって、副長公室。

士官浴室及び便所。見る限りバスタブはない。

応急班待機所にあった防御指揮盤。右には無電池電話をかぶった伝令のマネキン。

海自では補強に木材を使うが、米軍にはこのような鉄製の補強材もある。ヒンジ部で角度を調整できるほか、もちろん高さを調整できる。

応急電路。端子はそれでいいんだ…?

士官食堂に突然置いてある「蒸気機関のしくみ」。

あちこちの保存艦の中でも結構珍しい(と思う)のは電信室だ。電報の処理装置が並んでいる。

現役艦であれば、暗号等もあるためまず立ち入れない区画である。だから何だと言われれば…なんでしょうね…

独房。確か4部屋くらいあった。さすが戦艦である。

前部の乗員居住区(写真省略)からはさらに第3甲板に降りられる。ここは洗濯室。

理髪室。広い!

第4甲板で唯一降りられるのは冷凍庫。残念ながら機械室やボイラー室の展示はなかった。

Nauticasの展示。アメリカ海軍には、軍艦の名前になった都市や州が寄贈をする伝統があるようで、ウィスコンシンウィスコンシン州から送られた銀食器を積んでいたそうな。ゴージャス。

さあ、まだ時間があるので続けてマッカーサー・メモリアルを見学。旧市役所庁舎であるメモリアルの脇にはフィリピンに「I shall return」した有名なマッカーサーと幕僚団の映像を元にしたレリーフがある。

確かこれリハーサルをして撮ったんだっけ。

マッカーサーについては以前軽く触れたが、やはり自己宣伝のうまい人という印象がまずぬぐえない。しかも割と早い時期にメッキが剝がれているあたり、将帥としてもいかがなものか。とりあえず個人を腐すエピソードには残念ながら事欠かない人である。

メモリアル本体。ご立派。

館内の展示は当然ながらマッカーサー個人にかかわるもの。マッカーサーは若いころからフィリピンとのかかわりが深いが、これはフィリピンで使用していたデリンジャーデリンジャーと言えばバックトゥザフューチャー3だよね。苦しみぬいて死ぬやつ。

陸軍士官学校(ウェストポイント)の制服が目立つ。マッカーサーはその優秀な卒業であるだけでなく、のちに学校長も務めた。

当然日本とのかかわりもある。こんなところに昭和天皇を小さく置きやがって。

そして巨大な、ミズーリ艦上における日本の降伏文書調印の絵。

プライム・ミニスター・ヨシダとお土産物。地味に高そうだ。

これはマジで高いやつ。持ち帰りやがって…

マッカーサー自身があまり前に出なかったからか?朝鮮戦争時の国連軍最高司令官であったにもかかわらず関連展示は少ない。これは「北朝鮮軍に制空権を失ったことをわからせるビラ」とのことだが、「勇敢な朝鮮人民軍は負けないぞ!」みたいな絵にも見える。

勲章の数々。一番左上は中国(おそらく中華民国)である。日本の勲一等旭日大綬章は最上段左から2番目。

肩まで届いちゃってる略綬。

ビジターセンターに移動する。これはマッカーサーの幕僚車として使われたクライスラー・クラウンインペリアル。

ビジターセンターはフィリピンにおける日本軍関連の展示がやたら充実している。絵画は「貞淑を守ろうとするフィリピン人の夫」みたいな状況らしい。右下には辻政信の写真。

どこの鳥居?と思ったら日光東照宮の縮尺模型らしい。

ハーレーダビットソンのバイク。自衛隊では今でも偵察バイクを使用しているけど、米軍ってどうなのかしら(特殊部隊はともかく)

ウィリスジープ。

夕食は友人が15年前に訪れたという店で。落ち着いた雰囲気でよい。

Omar's Carriage House |

シーザーサラダ。

メインはラムシャンク。おいしい!!!

満足でした。また来ます!今度はシーフードにしよう。