アメリカ編~第50日目

12月16日(土)

職場の研修ツアーで、オースティンのテキサス大学オースティン校構内にあるジョンソン大統領記念図書館に行ってきた。

LBJ Presidential Library- LBJ Library

アメリカ大統領にはフランクリン・ルーズベルト以来、退任後に自身に関連する公文書を保管し功績をたたえる大統領記念図書館を建設する慣習がある。基本的には大統領にゆかりのある地や生誕地に建てられることが多い。

大統領図書館 - Wikipedia

リンドン・べインズ・ジョンソンはテキサス州出身の民主党の政治家で、第35代大統領ジョン・フィッツジェラルドケネディの副大統領だったが、ケネディの1963年11月のケネディ暗殺によって大統領に昇格した。

Wikipediaを読み返してみて、あらためてジョンソンの右隣の憔悴しきったジャクリーン・ケネディ大統領夫人の姿に悲しくなる。
彼は1964年の大統領選挙に出馬し歴史的大勝をおさめるが、ベトナム戦争の拡大と米軍将兵の犠牲の増加に対する非難を浴びることになり、1968年の大統領選挙には出馬しなかった(1963~64年の任期は2年以下なので1期にカウントされず、制度上は出馬可能だった)。退任からほどない1973年に病死している。

ja.wikipedia.org

このような経歴から、ジョンソンは人気のある大統領とは言えない。彼はもともと保守色の強いテキサスの出身であり、白人で、牧場主の子で、根っからの政治屋だった。副大統領としても、若くハンサムで一家そろってアメリカに愛されたJFKの陰で目立たず、ケネディ政権の「輝かしい」スタッフたちとの折り合いもよくなかった。そして何より、ジョンソンにはアメリカをベトナム戦争の泥沼に突き進ませたイメージがあり、それは紛れもない事実ではある。

一方で、彼が大学卒業後についた職業は、貧しいメキシコ系移民の通う学校での教師だった。その経験がずっと残っていたのか、彼は公民権運動や「貧困との闘い」などを大きく進めた。また、日本への沖縄返還に向けた道筋を作ってもいる。ツアーガイドは「ほかにテキサス出身の大統領といえばブッシュ親子がいるけどあれはよその州から移り住んできてて本当のテキサス人じゃないから」と言った後、上記のような説明をしてくれた。

オースティンへ行くのは約1か月ぶり。州議事堂を見学に行って以来である。

ikujyoujieitai.hatenablog.jp

途中で、テキサスの「コンビニ」チェーン、BUC-EE'S(バッキーズ)に立ち寄る。

これがコンビニ??となるのだが、ハイウェイのロードサイドで給油設備を併設しているようなのは大きくても「コンビニ」なんだそうだ。

このおじさんまーた奥さんに相談もせずに子供の服買って…

着いた。重厚な建物だ。ロビーは3階にあって、3階、4階そして10階が一般見学者向け、1階は管理施設、2階は特別授業用、5~9階は資料保管庫となっている。

ジョンソンは結構雄弁だったようだ。これは彼の「ユーモア」に関する展示だが、ほかにも彼の電話での肉声を録音した展示が複数あったりする。

大統領夫人のレディバード・ジョンソンに関する展示も結構多い。これは彼女が1964年の選挙戦で南部におけるジャンぺーんを行った際のコスチュームとのこと。まあアメリカ大統領選挙は金のかけ方が違うわね。来年ちょっと楽しみ。

歴代大統領と夫人の公式肖像画。カーター夫人のところはまだ更新されていない。

オバマは負債ともにちょっと雰囲気が違う。そしてその右は未だに空白。

アポロ1号の火災事故の後、殉職したガス・グリソムの家族にお悔やみを述べるジョンソン。

ホワイトハウスのシチュエーションルームで、ケサンの戦いを研究(Study)するために使われた地形図。いわゆる砂盤というやつだ。ケサンは南北ベトナムを分ける非武装地帯の南側で、米軍がここに設置した基地がベトナム軍に包囲され、激しい戦いとなった。同じ時期のテト攻勢とあわせ、ベトナムにおける米軍の苦戦を強く印象付けることになった。

ja.wikipedia.org

アメリカがベトナムに直接介入するきっかけとなった「トンキン湾事件」で有名な駆逐艦「マドックス」(アレン・M・サムナー級)。後にトンキン湾事件は米国による挑発や捏造であることが発覚している。

ほっこり。孫の初めての散髪を見るおじいちゃん。

大統領執務室(オーバルオフィス)。

大統領夫人執務室。

大統領専用車。

ミュージアムショップ。「テキサスでは鉛筆もこんなに大きくなっちゃいました!」

LBJパーカーとかほんとに買っていく人いるんだろうか。

(暖かい)飲み物を入れると全州が民主党支持を表す青色に変わる、「民主党の夢」マグカップ

確かにテキサスでは何もかもが大きいので大学も広い。遠くに見える時計塔も構内なのだが、ここはアメリカ初の銃乱射事件と言われるテキサス・タワー銃乱射事件で犯人のチャールズ・ホイットマンが陣取った場所だ。

テキサスタワー乱射事件 - Wikipedia

オースティンでの食事は自由時間。オースティンはテキサス州では例外的にリベラルな街で、ダウンタウンには開放的な雰囲気があり、サンアントニオとはまるで違う。タコスはおいしかったけど小さかったな…