アメリカ編~第37日目

12月3日(日)。

朝。改めて窓の外を見てみると、3階なのでこんな感じ。

朝食。コーヒー飲みながら新聞を広げている人なんかもいて、「アメリカの映画で見るわ~」というかんじ。

ジョンソン宇宙センター。ここがテキサス出身のリンドン・B・ジョンソンにちなんで改称されたのは1973年、ジョンソンが亡くなって直後のことだった。人類月面着陸を成し遂げたアポロ計画といえば、(女好きの)ジョン・F・ケネディが「10年以内に人類を月に送る」と宣言したことで有名だが、この演説がなされた1961年5月時点ではアメリカ人初の宇宙飛行士アラン・B・シェパードがフリーダム7で弾道飛行を成功させたにすぎなかったのだから大言壮語のようにも思える。実際、ケネディが凶弾に倒れた時点ではようやくマーキュリー計画が終わっていた頃で、ジョンソン政権下でジェミニアポロ計画は進んでいる。そしてアポロ11号が月面着陸を成し遂げた1969年には、リチャード・M・ニクソンが大統領になっていた。

www.nasa.gov

エントランス部のアポロ着陸船。

現在進行中の月探査計画・アルテミス計画で送り込まれる予定の探査車だそうだが

かわいいような頼りないような。

全有人飛行ミッションの記念撮影。

野口聡一飛行士が参加したスペースシャトルディスカバリーによるSTS-114。

その前にあったのがSTS-107、スペースシャトル・コロンビアの事故だ。

アポロ1号及びスペースシャトル・チャレンジャー(STS-51)の写真にも喪章がある。

アルテミス計画で使用される予定のオライオン宇宙船。

同じくアルテミス計画で使用が予定されているSLS(Space Launch Sustem)及びそのRS-25エンジン。最近のアメリカのこの「概念」みたいな命名なんとかならんのかな。

今更ながらシステムを説明する。先ほどから博物館のような展示があるこの「Space Center Houston」は来訪者向けの展示棟で、ここは中を見て回れるようになっている。ジェミニ宇宙船の展示は本物だったりするが、まあこの建物はNASA博物館というところ。一方で屋外のシャトル運搬機はかなり珍しい。この展示棟以外の宇宙センターは現役で使用されているので、見学者が勝手に見て回るようにはできていない。このため、「トラム」と称する連結バスで行く見学ツアーが順次催行されており、「ロケットパーク」「宇宙飛行士訓練施設’」「旧管制センター」の3つがある。いずれも催行時間と参加可能人数に制限があり、先着順になっている(自分たちの分かる限りでは当日到着後に申し込むしかなかった)。「ロケットパーク」は追加料金不要だが、ほかの2つのツアーは追加料金が必要。

…で、ぜひ「旧管制センター」を見てアポロ13ごっこをしたかったのだが、残念ながら自由時間内で参加できるツアーがなかった。あきらめて「宇宙飛行士訓練施設」へ。

バスっていうか、うん。1編成でだいたい60人くらいだろうか。

敷地内はアメリカの施設らしくかなり広い。この敷地を活かして地元高校のフィールドスタディーに協力しているそうだ。写真はたぶんテキサスロングホーンと呼ばれる角のでかい牛。

ロケットパークの遠景。見ての通り、中には実物のサターンVが保存されている。

ロケットパークについては後で書きます。

けっこう時間がかかる。15分ほど走って宇宙飛行士訓練施設に到着。

現役の施設だが日曜日なので当然誰もいない。中には広い空間にさまざまな施設のモックアップが並べられている。左のQuestは国際宇宙ステーションISS)のエアロックらしい。右のDestinyはアメリカの実験モジュール。

ぽつんと宇宙服(船外活動スーツ)。

手前のZaryaはロシア製の基本機能モジュール。右奥のPMMは欧州のモジュールだそうだ。

Zaryaもそうだけど、このSoyuzも複雑な気持ちになるわね。


めちゃくちゃ目立つボーイングだが「スターライナー」というISS用の宇宙船を作っているそうな。前掲のオライオンに少し似ているがオライオンはロッキードマーチン製。

ISSの居住ステーションZvezda。やはりISSはかなりの部分をロシアに頼ってるんだなあ…

あの銀色のやつオライオンかなあ。むしろアダムスキー型円盤みたいだ。

訓練施設内は、見学用の通路を端から端まで簡単な説明を聞いて歩くだけ。ちょっと物足りない。やっぱり旧管制センターが見たかったなあ。

また15分かけて帰る。

ふたたびロケットパーク行きのツアーへ。こっちはかなりの頻度で行き来しているようで、参加できないということはほぼなさそうだ。

トラムの各編成には太陽系の惑星の名前がついているっぽい。Earth号。このパターンでEarthって入るんだ。

遠くから見たシャトル輸送機とオービター。

なんか不格好なロケットだがそれもそのはず、アポロ宇宙船の脱出システムの試験用に作られたリトル・ジョーIIというロケットだ。

リトル・ジョーIIのエンジン。

こちらにも脱出装置がついているが、これはマーキュリー計画の初期に、つまりアメリカ初の有人飛行に使用されたマーキュリー・レッドストーンアメリカ初期の弾道ミサイルであるレッドストーンを改良して作られている。

これに人が乗るのか、と思って改めて見ると細くいかにも頼りない。これの先端にくくりつけられて飛ばされるなんて正気の沙汰じゃない。


それに比べてエンジン単体でかなりの重量感があるサターンVのF-1エンジン。サターンVはこれを第一段に5基束ねて使用している。

こちらは第二段、第三段に使用されているJ-2エンジン。

そして展示棟の中には…デカァァァァァイ!説明不要!USA!サターンVだ!昔図鑑で見てあこがれた、世界最高のロケット(主観)だ!!

た、たまんないわね!!

各段が離れた状態で展示されている(正確には各段の接続部のフェアリングが外された状態というべきか)。

横には悲劇のアポロ1号から18号までの説明が掲示されている。写真はアポロ11号の月着陸後最初の通信。

大好きな映画「アポロ13」の元になった「輝かしい失敗」、アポロ13号。

第三段部分。

アポロ宇宙船などペイロード部分。

このパース感よ。たまらん。長いモノフェチとして。

アポロ13号の飛行士生還の銅像

ペイロード部を真横から。

第二段の上部。要するにロケットのほとんどが巨大な燃料タンクですね。

さて、感動冷めやらぬうちにもう一つの大物、スペースシャトル輸送機である。この飛行機はスペースシャトル・オービターの実験・輸送用にボーイング747を改造して2機が製造されている。

ja.wikipedia.org

Shuttle Carrier Aircraftというそっけない名前だけで愛称のようなものがないのは意外。

隣の建物から階段(もしくはエレベーター)を登って、輸送機部分とオービター部分にそれぞれ入れるようになっている。シャトルの退役後には無人機の試験にも使用されたようだ。

機内は展示施設になっており、輸送機の方は内装はほとんど残っていない。

ほんとにこれ飛ぶの?ということでラジコン飛行機で実験した様子のビデオが上映されている。楽しそう。

なお、「Lanch Position」とあるとおり空中で飛行試験のために飛ばしたり再度ドッキングさせたりできる。嘘やろ…

初めて知った。C-5輸送機を使用する案もあったんですって。右側なんかすごい。いや最近飛行機から打ち上げるやつもやろうとしてるけどね…

news.mynavi.jp

当然こういう施設も必要になる。スケールがでかい。

残念ながらこのオービター「インディペンデンス」は展示用のモックアップである。

ペイロードデッキ。結構広く感じる。

エアロック部分。

操縦席部分は二階建てになっている。

操縦席。

2回部分からペイロードベイを見る。

狂人イーロン・マスクの打ち上げロケット、ファルコン9もSpace Center Houstonと隣接する広場にある。

クリスマスに向けてここでもライトアップイベントが準備されていた。インスタ映えロケット。

ちょっと面白かった展示がこれ。シャトルの打ち上げ時に飛行士が乗り込むブリッジである。アルマゲドンブルース・ウィリスが一味を引き連れて歩いていくアレだ。

なんだって説明次第で展示物になるよな、などという感想を抱く。

スカイラブ宇宙ステーション。昔は「宇宙愛」だと思ってた。

最後はいつも通り時間切れでSCH内の展示をすべて見ることはできなかった。この写真は「火星とはとてもじゃないけどリアルタイム通信できないよ」という内容なのだが、「君の名は。」「天気の子」「すずめの戸締り」で知られる新海誠監督が広く知られるきっかけになった「ほしのこえ」を思い出してしまった。あんなマニアックなものを作っていた人が今や…という脱線。

さて、最後にお土産が大変充実していたので紹介しておきたい。大人も子供も目を輝かせてしまうこと間違いないラインナップなのだが、泣く泣く子供たちのものだけにした。なおミリタリーは20%OFFだそうです。知らんけど。

次男用ロンパース。冒頭紹介した通り、「ヒューストン」は宇宙船が地球と交信する際の代名詞だ。「ヒューストン、問題が発生した!」とお尻に書かれたロンパース

そして「ヒューストン、私がその問題です」と書かれた長男用Tシャツ。

ロケット型リュックサック。煉獄さんの髪みたいな部分は正直要らない気もする。

兄弟おそろいのシャトル搭乗員ツナギ。

いやー、楽しかった。またもや交流そっちのけでほとんど一人で探検してしまった。テキサスに来られたらぜひ。