アメリカ編~第72日目

1月7日(日)

こちらでの受け入れを支援してくださる方(スポンサーと呼ばれる)にお誘いいただき、隣町のハンプトンにあるNASAラングレー研究所のビジター・センターに行ってきた。ラングレー研究所は空軍のラングレー基地に隣接しており、1917年に設立された、NASAの最初の研究施設だ。今も航空・宇宙関連の研究や訓練に使用されている。

https://vasc.org/

最初にIMAXで40分の映画を見る。水中の洞窟に潜って太古の大気をサンプリングし、温暖化について研究するという内容だった。ちなみに建物への入場自体は無料で、この映画が20ドル弱する。

NASAの前身は、航空技術の研究を行ったNACAである。これは初期の空洞実験設備。

プロペラ。扇子の根元のような形をしている。

中距離核ミサイルのパーシング2。本ミサイルはソ連のSS-20と合わせて非常に有名である。欧州に米ソの中距離核戦力(INF)が配備されたことは、米ソの本土を巻き込まない形で核使用ができるのではないか、ひいては核使用のハードルが低くなるのではないかとの議論を巻き起こした。米国はソ連によるSS-20の配備に対してこのパーシング2を欧州に配備して対抗するとともに、核軍縮協議を開始するという「二重決定」を行い、最終的にINF全廃条約によってこの種の兵器は禁止された。近年になって、ロシアの開発したミサイルの一部がINF条約に違反しているのではないかという疑惑のある中、トランプ政権がINF条約の破棄を決定。かつて軍備管理の成功例とされたINF全廃条約は2019年に失効した。

館内には航空機も多数展示されている。これは英国製の垂直離着陸機ハリアー。…かと思ったら、試験機のケストレルですって。

朝鮮戦争などで使われた初期のジェット戦闘機、F-84Gサンダーストリーク

ここにある中でも特に貴重なのが、実際に月軌道上から帰ってきたアポロ12号のカプセル。全体的に焼けただれているが、中華鍋みたいになっているシールド底面が鏡で見られるようになっている。

マーキュリー14号。空力テストで使われて宇宙には行っていないとのこと。

ジェミニの実験用カプセル。やはり何度見ても小さい。

ラングレーでは、アポロ着陸船の月面着陸訓練が行われた。これはその際に使用する巨大なクレーン。

個人的に面白かったのはこのトイレみたいなのがついた、練習用のアポロ着陸船。

火星着陸を果たしたバイキング2号の地上モデル。

2004年から14年間にわたって火星の探査を行ったオポチュニティの地上モデル。

なんだっけ…

ここにも次期宇宙船のオリオンが展示されている。アポロなんかを見た後だと確かに広く感じる。NASAとしては今後の野心的な宇宙計画への理解を得ようと力を入れているのだろう。

飛行機いろいろ。

ロナルド・レーガン。空母は長期間にわたって就役するが、搭載機でおおよその(想定している)年代が分かる。F-14はいなくてA-6系がいるという、2000年代後半~10年代前半くらいのかんじ。

パイパー・カブとステアマン練習機

ライト兄弟による史上初の動力飛行機、ライトフライヤーの複製。ちなみに彼らが初飛行を行ったノースカロライナ州キティホークもここから1時間ほど。後ろには旅客機のDC-9。

F-106デルタダートとF-16の試作型YF-16。

屋上からはまわりが見渡せるようになっている。ハンプトンは歴史ある街で、イギリスが初期に植民した地であり、のちに解放奴隷の街になった。今でも黒人が多く住んでおり、ビジターセンターのあるあたりでは音楽イベントがよく開催されるそうだ。