育休日記5日目・産まれました

いよいよ手術日の朝。長男を義母に預け、妻と病院へ行く。雪が残っているのでタクシーを使う。

もちろん、妻のような計画分娩は少数派で、自然分娩の人は産気づいてから病院に来る。なので、手術の順番と時間は当日にならないとわからない。受付で妻を送り出して待つ。病院は妊婦最優先なので、男どもは基本的に受付の外、暖房のない椅子に座って待つ。

1時間もしないうちに、10時から手術だと言われる。一番最初になったらしい。病院の裏で抗原検査をする。自分でするのと違って容赦なく奥まで突っ込んで検体採取。いたい。

医療用ガウンと頭のカバーをつける。ガウンは最初、前後逆(いわゆるゼレンスキー状態)で着てしまった。手術室のある3階へ。またしばらく待つ。看護師さんに連れられて入る。執刀医の背中側あたりに椅子があり、そこで見ているように言われる。妻の顔も横にある。部分麻酔なので意識ははっきりしている。妻の腹がパックマンの口のように開いているのを見ると、ヒッとなった。もう佳境のようだ。

「そろそろですよ。準備してください」と言われ、あわてて携帯を構える。するすると血まみれの赤ちゃんが出てくる。血をぬぐわれ、へその緒をつけたまま取り上げられてきた。くぐもったような泣き声が響く。これが人が産まれる瞬間なんだ。元気な男の子だ…

すぐに赤ちゃんは連れていかれ、しばらく妻の腹が縫われていくのを見る。腹を縫う前に、開腹部から遊星からの物体Xマイルド版みたいな臓器が出ているのが見える。これが子宮なのか。驚くほど腹から飛び出して見える。うーん、これがいちばんショッキングかも。

手術室から連れ出され、新生児室へ。検査の間はガラス越しに見る。「抱っこしてあげてください」と言われ、久しぶりに横抱きにする。普段抱っこしている13キロの長男に比べて当然軽い。揺らしていると、寝るような、でも寝ないような…

妻が運ばれてきた。ここで赤ちゃんを再び渡して、おしまい。臍の緒を持って帰った。よく見る桐の箱に入っているが、乾かしてから蓋を閉めないとカビるらしい。

午後から、長男と滋賀県にある私の実家に来た。両親はよくしてくれるが、やはり夜寝る時は妻がいなくてずっと泣いていた。長男にとって、初めて母と離れた夜である。